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個人山行 乗鞍岳・鉢盛山 《山紀行717》

乗鞍岳は以前、畳平から観光客に交じって剣ヶ峰を往復したが「あれは登山じゃない」という思いが鬱積していた。今回、延標高差2,300mの縦走を行うことで満足を得た。鉢盛山は閉ざされた林道の奥にあり、行政の許可がなければ近寄れない。以前は長野県朝日村からのアクセスがあったが平成18年以来不通になったままで、今回は松本市波田支所の許可を得て黒川林道の奥に入った。
20100918乗鞍鉢盛1
写真1: 大丹生岳、烏帽子岳と手前に丸山(硫黄岳南西尾根より)
個人山行 乗鞍岳・鉢盛山 《山紀行717》           平成22年9月18日(土)~19日(日)
48期 山本浩史  (単独)
乗鞍岳は以前、畳平から観光客に交じって剣ヶ峰を往復したが「あれは登山じゃない」という思いが鬱積していた。今回、延標高差2,300mの縦走を行うことで満足を得た。鉢盛山は閉ざされた林道の奥にあり、行政の許可がなければ近寄れない。以前は長野県朝日村からのアクセスがあったが平成18年以来不通になったままで、今回は松本市波田支所の許可を得て黒川林道の奥に入った。

1日目(9/18): 乗鞍岳 晴れのち曇り
【行  程】  京都0:45=京都南IC=(名神・中央道)=松本IC=6:11あかんだなP 6:34~6:50平湯温泉スキー場~9:22権現社9:32~10:20硫黄岳~10:57丸山~11:35大丹生岳~12:13魔王岳~12:54摩利支天岳~13:41剣ヶ峰~13:52朝日岳~14:26畳平14:50=15:55あかんだなP 16:00=16:05神ノ湯16:45=18:25▲黒川林道入口
【登山データ】  歩行21.4㎞ 7時間52分 延登高 2,377m 延下降 940m 9座登頂
20100918乗鞍鉢盛地図1
20100918乗鞍鉢盛地図2

黒川林道の鍵受け渡しの都合から予定していた鉢盛山は明日にして、今日は乗鞍岳に変更した。それも当初の計画では乗鞍高原を4:07のバスに乗る行程だったので別ルートの平湯温泉から登ることにした。
乗鞍スカイラインは平成15年からマイカー乗り入れ規制が実施され静かになった。その代わり平湯温泉あるいは朴の木平からシャトルバスが運行され登山客や観光客は相変わらず沢山訪れる。こんな人達をしり目に平湯温泉(標高1,260m)から平湯乗鞍登山道を歩く。剣ヶ峰との単純標高差でも1,800mある。まず会う人はいないだろう。
登り出しは平湯温泉スキー場の標高差550mのゲレンデ歩きだ。今年買ったばかりの昭文社登山地図にはスキー場“跡”と記されていたが、HPを見るとまだ営業しているようでもある。初心者向けコースは比較的なだらかだが中級者向け「湯の平コース」に入ると傾斜が増し、砕石が撒かれていたりして歩き難い。しかしゲレンデは見通しが良く標高が増してくると向かい側の輝山(2,063m)や、乗鞍の四ッ岳(2,745m)を見ることができる。ゲレンデの最上部からは登山道となり、すぐに3等三角点「中根山」に達した。会う人はいないだろうと思っていたのになんと人がいた。金山岩(2,532m)までピストンすると云う地元のご夫婦だった。
平湯尾根は笹が覆い被り、朝露に濡れてズボンはびちょびちょ、雨具を着ればと後悔するがもう手遅れ。開き直って濡れ続けた。ほぼ一貫して登り続け金山岩の直前で巻道に入り権現社に達する。平坦な広場がありテント一張り分のお誂えスペースがある。岐阜長野県境尾根で金山岩、十石山への登山道が登って行く。此の道はそのまま白骨温泉へと続くが登山地図には書かれていない。当初は乗鞍高原から日の出バスに乗り此のルートを白骨温泉に下山しようと計画していた。
硫黄岳との鞍部へ下るガレ場で前方に硫黄岳が姿を現した。登り返し標高2,400m辺りで森林限界を越えハイマツ帯となる。硫黄岳(2,554m)に登路はなく西側の20mほど下を巻いている。自然保護の観点からはハイマツを踏みつけて山頂を目指すのは気が引けるが、繊細な高山植物でないので強行して山頂に立った。標識の類はない。ガスが上がり始め向かい側の四ッ岳や先の大黒山にガスが纏わりつきはっきりしない。
少し下るとまたガスが取れ姫ヶ原・猿飛八丁原の谷間越に四ッ岳が鮮やかに迫ってくる。鞍部に達すると姫ヶ原分岐で平湯大滝を経由して平湯温泉へ至る登山道が分岐するが、今はこの先の猿飛八丁原までしか行くことができない。姫ヶ原分岐の先に笠を広げたような可愛い山がある。背の高いハイマツで覆われた丸山(2,515m)で、登頂は無理かと思われたが回り込んで見ると反対側はガレ場で難なく登頂できた。足元を見るとコマクサの葉っぱがあちこちにあり2株だけ名残の花を咲かせていた。
丸山からは急斜面をジグザグに登り乗鞍スカイラインに達する。バスとタクシーが時折通る道に「平湯・十石山登山口」と標識があり、振り返ると硫黄岳、金山岩、十石山が横たわっている。それにしても四ッ岳の存在感は抜群で、縦走路を外れており、しかも登路が無いのが残念だ。
“登山口”のすぐ西に大丹生岳(おおにゅうだけ・2,698m)があるがこれも登路がなくハイマツに覆われている。標高差が50m以上あるので諦めてスカイラインを南へと進んだ。尾根の南端で振り返ると尾根が割れ、草付きの谷間に所々ハイマツがある程度、此れは行ける! 藪漕ぎ突入すると、何となく歩き易いところがあり、「来た人がいる」と感じだ。ハイマツの山頂に標識の類はないが、勿論360°の展望で、硫黄岳からこじんまりと見えていた烏帽子岳(2,692m)が迫力のある姿で見ることができた。
ここまで登って来てスカイラインの車道歩きとは興を削がれるが、左側には桔梗ヶ原のハイマツ帯が広がり大黒岳へとへと繋がる雄大な眺めは素晴らしい。大黒岳の北稜線は植生保護のため閉鎖されているので、以前に南から登っているのでパスし、そのままスカイラインを進み畳平バスターミナルに達した。マイカーが来なくなって落ち着いてはいるが、そこは一大観光地、レストハウスが賑わっている。そう云えば昨年ここで熊が大暴れし射殺される事件があり友人が緊急閉鎖され登山道で足止めを食ったとか言ってたなあ。今日の畳平に熊はいないようた。
バスターミナル西の火口湖(亀ヶ池)を取り囲むように恵比須岳、魔王岳、前山(魔王苑地)が連なるが、お鉢巡りが閉鎖され前山、魔王岳のみ登山可能、圧倒的に多い観光客に混じって此の2山に登頂し剣ヶ峰を目指した。まずは国立天文台乗鞍コロナ観測所のドームのある摩利支天岳に登る。この観測所は昭和24(1949)年に設置された施設だが、平成21年度末で使用を停止したようだ。観測所のあたりが最高所だが、山頂標識などはない。一つ発見したのは第20回国民体育大会炬火採火の地の記念銘盤で昭和40年のことだそうだ。
この辺りまで来るとガスが濃くなり、不消ノ池が辛うじて見える程度で剣ヶ峰方向は何も見えない。肩ノ小屋までは車道歩きで、此処から漸く登山道となる。しかし観光客もここまで来れば勢いで、サンダル履きのまま登頂を目指している。広い登山道はすれ違いも問題なく蚕玉岳(こだまだけ・2,979m)を通過、殆どピーク性のない愛らしい山だ。核心部は一方通行で時計回りに剣ヶ峰(3,026m)山頂に到る。乗鞍岳主峰で日本百名山、乗鞍本宮奥宮がありなんと神職が隅に座っていた。この社の裏に乗っかるように朝日権現社の祠もあるが、信仰登山の人の姿は皆無だった。
下り道では朝日岳に立寄る。ロープが張られ通行止めになっているようだが、人の少なそうな時を見計らって盗人登山、立ち込めたガスが雲隠れに丁度良い。山頂には朝日大権現の祠があり登山禁止の措置は納得がいかない。早足で下山し畳平14:50発の平湯温泉行バスに乗った。途中朴の木平を経由するが所要時間が1時間も掛り、今日歩いてきた道のりの長さに感慨深い。今日は縦走路であった1組の登山者と会話しただけで、畳平からは会話はおろか挨拶もろくにしなかった。こんな山域は掠るだけに留めたい。
下山後の楽しみは温泉、有名な平湯温泉も車で混雑しているので、奥の秘湯「神ノ湯」露天風呂に行く。あかんだなPからは一番近く500円で入浴、風呂上がりに500円で岩魚の串焼きを賞味し松本市役所波田支所に向かった。予め申請しておいた黒川林道の鍵を受け取り今日の宿泊地、島々の林道入口に向かった。登山口まで行ってしまうと標高が高く寒いのではと思い標高800mの此の地点にした。(この日はシュラフを持って来るのを忘れた)

2日目(9/19): 鉢盛山 晴れ
【行  程】  ▲黒川林道入口5:07=5:31黒川林道登山口5:40~6:45林道分岐~7:13波田避難小屋~8:23鉢盛山8:52~9:27波田避難小屋~9:54林道分岐~10:45ハト峰11:03~11:46林道分岐~12:39黒川林道登山口13:10=13:49竜島温泉15:03=松本IC=▲(中央道・名神)=京都南IC=0:51桂
20100918乗鞍鉢盛地図3

【登山データ】  歩行24.8㎞ 6時間59分 延登高 1,241m 延下降 1,241m 2座登頂
朝4時過ぎ。ヘッドライトをハイにして車が入ってきた。おっ役場の人が言っていた「もう一人」のようだ。朝食を済ませ12㎞の黒川林道を進む。舗装路が途切れダートになるがまた舗装路となり駐車場に到着。思った以上に広い駐車場だ。標高は1,490m、実は此処に平成21年まで六兵衛小屋があったが取り壊されてしまい今はない。先行したはずの車はいない、さらに先まで入ったようだ。
登山準備を整え林道を進む。左手にハト峰への登山口標識があるが、笹藪で道形は全く認められない。少し先に鉢盛山への登山口がある。これは黒川を高巻き鉢盛山に北尾根から登るルートだが平成18年の豪雨で通行止めになってしまった。今日は波田支所が指定している黒川林道の終点まで行って林道あきんど平支線を歩くルートを取る。
400m程歩き黒川林道終点に達すると、筑豊ナンバーの乗用車が止められていたが、もう出発したようだ。180°折り返すようにしてゲートの閉ざされた“あきんど平支線”に入る。道はしっかりしていて幅も3m以上ある。等高線の詰った山なので林道は斜面に沿うように付けられ折り返してはまた斜面に沿って進む。標高1,700m位に達したところで北方の展望が開け、折しも朝焼けに輝く穂高連峰から槍ヶ岳の姿を見ることができた。林道支線を4.2㎞行くと分岐点に達した。登山地図には暫定登山口と書かれているが此処まで一般車は入れない。
分岐の先は、ハト峰の西山麓へと続いているが、鉢盛山へは折り返すように分岐する林道の枝線に入り、3回折返して波田避難小屋へと達する。冬支度のままで窓は板で塞がれ、扉は上半分が覆われている。開けてみると中は小奇麗で快適に宿泊することができそうだ。標高はすでに2,050m、長かった林道歩きも此処までで稜線の登山道となった。深い笹原を切り開いた道で迷いようはない。途中に4等三角点「東沢」がピーク性のないところにある筈だが、往復とも発見することはできなかった。
標高2,210mあたりで朝日村の岳沢入尾根登山口からの登山道が合流する。鉢盛山林道が平成18年の豪雨で不通になり今は通行できない。市村界尾根をやや南に外れ鉢盛坂新道で核心部の登りとなる。10坪ほどの広場は「権現の庭」と名が付き鉢盛山避難小屋に達する。プレハブの古い小屋でこれも板で覆われ薄暗い。周りは草生して殆ど近づく人もいないようだ。山頂までは100m、5分の表示があり、ひと登りで鉢盛山(2,446m)山頂に到着した。
1等三角点「鉢盛山」を中心にその周りを囲むように四方に向いた祠が4つ鎮座し山頂を守っている。展望は中央アルプスなど一部が見えるだけで余り良くないが、北西方向50mの所にマイクロウェーブ反射板があり開けている。此処から乗鞍岳はすぐ近くで美しい山容を見せてくれる。昨日歩いた硫黄岳からの稜線を目で辿ると感慨一入だ。少し南に目を転じると御嶽山も存在感を示している。素晴らしいのは西方面だけではなく北アルプスもまた圧巻だ。焼岳から穂高・槍、後立山の方まで見通せる。中でも穂高・槍は近くて素晴らしい。東京の友人が今日登っているはずだ、もうキレットは越えただろうか。
筑豊ナンバーの主には結局会えなかった。ハト峰に行ったのかそれとも山屋ではなく釣師だったのかなと考えながら来た道を引き返した。岳沢への分岐の辺りで登ってくる女性と遭遇、会話を交わすこともなくすれ違ったが3人目の人だろうか?波田避難小屋に戻り着きハト峰への縦走路を探すが笹藪が深く道形は全く見つけ出すことが出来ない。全く道のない3㎞余りのアップダウンの続く稜線の藪を漕ぐのは躊躇われ林道を行くことにした。林道の分岐まで戻りあきんど平支線を先に進む。等高線に沿うようにして付けられているが若干のアップダウンはある。避難小屋から5㎞の林道歩きでアキンド平への分岐に達した。
アキンド平はハト峰(1,971m)との鳩胸三角点峰(1,941m)との鞍部で林道から50mほど入った所にある。しっかりした指導標がありハト峰、鉢盛山を示していたが、2.5万図に描かれた大船沢へのルートは示されていなかった。しかしアキンド平は深い藪の中、標識の示す方向にも明瞭な道はない。笹原に微かな踏跡を探しアキンド平を抜けると一寸安心できる踏跡になった。樹林の途切れからは直線距離5㎞の彼方に鉢盛山を見通すことができた。そして足元を見ると花期を過ぎようとするマツムシソウが頑張っていた。
アキンド平から標高差150m程でハト峰山頂に達した。3等三角点「中峰」があるだけで山頂標識などは何もない。東面の展望が開け八ヶ岳、南アルプス、中央アルプスを望むことができる。大休止を取り山頂コーヒーを飲もうとテルモスとコップを取りだすと、アっしまった!コーヒーがない。朝飲んで補充を忘れた。前回の稲村ヶ岳ではテルモスに湯を入れて来るのを忘れた。今回はシュラフは忘れるし、これは認知証が進んでいるのかも!
コーヒーは諦め白湯で喉を潤しパンをかじる。やはり暑い時期でも暖かいものは体を癒す。駄じゃれじゃないが「ホッとして」下山に掛った。林道に飛び出すと後はもう長い長い林道歩きで黒川林道終点に達すると、さっきすれ違った女性が筑豊ナンバーの車の横に椅子を出し寛いでいる。なんだこの車の主だったのか。到着後しばらく仮眠して歩き始めたのでずっと私の後から来ていたのだった。暫く会話して駐車場へと戻った。それにしてもこの山、歩行距離は実に24.8㎞に達し、その内18.4㎞、76%が林道歩きという有難くない状況だったが。山頂からの眺めは最高だった。
この後は林道“走り”で竜島温泉に立ち寄る。黒川林道入口からは2㎞程の所だ。しかしアクシデントはこの後に起こった。林道入口から約5㎞の地点道の真ん中に大きな岩が、今朝入ってくるときにはなかった。山に登っている間に落ちてきたようだ。落ちていた太い木を梃子代わりに差し込むがポキリと折れてビクともしない。道幅は3m程しかなく谷側は絶対無理、山側はどうだろう大岩の周りの岩を人力でどかせる応急“土木工事”で通路を開き山肌に大きく乗り上げぎりぎりで通過することができた。軽四輪の小ささと4WDの威力が如何なく発揮できホッと胸を撫で下ろした。しかし待てよ。筑豊ナンバーは普通車、これは絶対に無理だ。助けるにもあの岩は人力の及ぶ処ではなく、救助は行政に任せるしかない。携帯の通じる林道入口まで進み波田支所に一報し対処を依頼した。
後のことが気になるが、予定通り竜島温泉へと向かい温泉を楽しんだ。筑豊ナンバーはどうしただろう。やっぱり気になる。波田支所に鍵を返しに立ち寄り、状況を聞くと直ぐに手配し、今救助に行っているとのことだった。マスコミ報道で公務員のマイナス面ばかり目立つが大多数の公務員の皆さんは頑張っているのだ。ありがとう。
【登山データ計】  歩行46.2㎞ 14時間51分 延登高 3,618m 延下降 2,181m 11座登頂

20100918乗鞍鉢盛2
写真2: 乗鞍岳(鉢盛山より)

20100918乗鞍鉢盛地図3
写真3: 奥穂高岳、前穂高岳(鉢盛山より)

20100918乗鞍鉢盛4
写真4: 槍ヶ岳、硫黄岳、野口五郎岳(鉢盛山より)

20100918乗鞍鉢盛5
写真5: ハト峰とあきんと平林道(波田避難小屋より)

20100918乗鞍鉢盛6
写真6: 鳩胸三角点峰と鉢盛山(ハト峰より)
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Genre : スポーツ 登山
プロフィール

kyotohira

Author:kyotohira
山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングから、アルプス縦走、沢登り、岩登り、植物観察、山スキー、トレイルランニングなどオールラウンドに楽しんでいます。

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