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[個人山行] 餓鬼岳縦走改め燕ワンデイ

悪天覚悟で出かけたため、見事に大荒れの天候。風はなかったが降雨が激しく、増水で渡渉不能になる恐れがあるため早期撤退。
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写真:思わず下山連絡メールに添付"
[個人山行]2011年7月29日(金)夜~30日(土) 餓鬼岳縦走改め燕ワンデイ
 
悪天覚悟で出かけたため、見事に大荒れの天候。風はなかったが降雨が激しく、増水で渡渉不能になる恐れがあるため早期撤退。

【参加者】単独 
【天候】29日:曇り 30日:雨のち曇り
【記録】
・7月29日(金)夜
自宅20:15=(マイカー)⇒23:15小黒川PA30⇒豊科IC0:05⇒しゃくなげ荘登山者駐車場0:30・0:45就寝
・7月30日(土)
4:40起床・しゃくなげ荘バス停5:15⇒5:55中房温泉バス停
中房温泉6:10→6:30第一ベンチ35→7:05第二ベンチ→7:15第三ベンチ25→7:50富士見ベンチ→8:15合戦小屋30→8:45合戦沢の頭→9:15燕山荘35→9:50燕岳→10:10北燕岳→11:20東沢乗越30→12:45北燕沢出合→13:15ブナ平35→14:15中房温泉  [行動時間 6:45]
中房温泉14:25=(タクシー)⇒15:00しゃくなげ荘10⇒15:45豊科IC⇒16:05みどり湖PA17:35⇒21:00京都市内

【感想】
 台風6号の影響で安倍奥の林道が通行止め。そのため周辺山域の登山計画を変更し燕~餓鬼岳縦走を計画。すると今後は停滞前線の大雨の影響で長岡市が水害に遭っているという。悩んだ末、雨の道中を覚悟の上行ってみることにした。というのも風はなさそうなので縦走はできると踏んだからだ。

 しゃくなげ荘は穂高温泉郷にある宿泊施設で、中房温泉に向かうバス停が設置されている。下山地を白沢登山口に設定したため、中房温泉までマイカーで入るよりここに車をデポした方が下山後~デポ地までのタクシー代が安くて済む、という考えである。ドアを開けて仮眠するが周辺は既に霧に覆われていて湿気がすごく寝苦しい。どんよりと雲とガスが立ち込める暗い朝。山に入るにつれ更に天候は悪化し中房温泉は既に雨。にも関わらずあふれんばかりの登山者でごった返している。入山前からの雨でテンション下がり気味だったが、登る気満々の周りの登山者の様子に後押しされて、延々と続く登山者の列に並び登り始めた。

 この合戦尾根はアルプス三大急登の一つであるが、過去に何度か通っておりルートの様子を知っているだけに気が楽だ。しかしとにかく暑くて楽なのは気だけ。とにかく人が多すぎる。延々と続く登山者の列で追い抜きもしづらく、休憩適地は既に一杯でスルーせざるを得ず、逆に道を譲られるとしんどくても前を行かなければ…とこんな状態。まるでトレイルレースに来たような感覚で非常にしんどかった。抜けないと無駄に時間がかかるが、かといって抜いてしまうとリードを維持するために休憩は挟めない。自分のペースで登れる状況ではないので、一定ペースを維持しながら渋滞の解消する稜線まで一気に登ってしまうのが一番時間と体力のロスがないのだろうが…さすがに縦走装備一式脊負って三大急登をノンピッチで登るだけの力はなかった。9年前の合戦小屋のスイカは1切れ800円だったと記憶しているが今は1000円になっていた。恨めしそうにスイカを眺めながら誘惑に耐え、合戦小屋を離れて燕山荘へ。
 
 稜線に乗り上げた地点である燕山荘を撤退判断ポイントと位置づけていたため、小屋に入り情報収集。外は完全に真っ白で時折雨が降り出すが行動には支障ない程度。ところがニュースによると現地は大雨注意報が発令中で今夜にかけて更に雨はひどくなり、日曜午後までは天候回復の見込みはないらしい。…今朝方燕山荘から下山してきた人の話では「昨日はホントにひどかった」と言ってたな…。少しくらい早めに回復に向かうことはないのだろうか。東沢コースが通行できるようなので、とりあえず前進してみることにした。

 ガスで視界のない燕岳山頂はあまりに素っ気なかった。もちろん白い岩肌の縦走路は美しいのだが、晴れの燕岳の展望を知っているだけにガッカリ感は否めない。燕岳以降もガスの縦走路が続くのだが、未踏のルート且つ登山者数も減るため快適に歩けて少し楽しい。そして突然現れた今山行最大の見どころ。北燕岳の肩から北方に向かう稜線が目を見張る程見事なお花畑!
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写真:北燕岳より奥には天国が"

 燕山荘から足を伸ばしたという登山者と「来た甲斐があった」と濃いガスの中歓喜しきり。お花畑を抜けるとルートは樹林帯に戻り高度を下げていくのだが…いよいよ雨が強まってきた。ザーと降りしきる雨音しか耳に入ってこない。登山道は既に沢になり土道は滑って仕方がない。風はないし岩稜でもないので前進には全く支障ない。非常に不快な思いをしながら行動しなければいけないというだけだ。

 より一層スリップに注意を払ってようやく着いた東沢乗越。前進するにあたり時間的にも問題はないが、土砂降りの雨は止む気配がなく餓鬼岳山荘のテン場に着いてもこの調子だろう。だが雨は覚悟していたがこの降り方は予想以上で、増水の心配をせざるを得なくなった。ここまで来てしまった以上、下山ルートは東沢もしくは白沢とどちらも沢道になる。明日の下山段階になって増水で白沢渡渉不可は致命的だ。「昨日はホントにひどく」て今日もこれだけ降り、時間が経つごとに水かさは増す一方。…渡渉できる内に大急ぎで東沢を下ることにした。

 健脚向きと言われる東沢コースであるが、特に厳しいのが源頭部。粘土質の急斜面の直下降は雨でズルズルのコンディションでは滑って仕方がない。好天時の登りでも苦しい登りになるだろうと想像できる。高度を一気に下げて沢筋に出ると既に水は茶色の濁流と化していた。晴れたらさぞ美しい沢なのだろうが…ガスに覆われた暗い上流部からごうごうと流れ来る沢の様相に、恐怖と畏敬の念を抱いた。渡渉は6回程度、まともに渡渉できたのは最初のみで、後は渡渉点など完全に水没、濁流の沢に膝下までつかりながら横断するしかなかった。幸い水上に顔を出している石が多く支えにできたので助かった。以降渡渉点がないと思われるブナ平まで一気に下って休憩。高度を下げたせいか既に雨は止み、あまつさえ雲の切れ間から青空すら見える…日まで照ってきてさすがに天に向かって吠えた。「なんでやねん!」もう、色々と。山の神は、何としてでも今週末は私を山に行かせたくなかったようだ。

 内容を振りかえると、本場アルプスにえざわざ錬成しに行ってきたようなものだ。あの悪天を行動できたモチベーションと縦走装備一式脊負って合戦尾根を3時間で登れた登高力は、今後の山行を行う上での財産になるだろう。成功の達成感で満たされている時とは違い、撤退時ほど山から多くを学び考えさせられる。悪天時に入山し最後に増水による渡渉…偶然ではあるが故藤田氏の山行と今回の山行について思いを巡らせることとなった1日であった。
110729-30tubakuro3 ここ渡渉点です

写真:ここ渡渉点です"
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Genre : スポーツ 登山
プロフィール

kyotohira

Author:kyotohira
山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングから、アルプス縦走、沢登り、岩登り、植物観察、山スキー、トレイルランニングなどオールラウンドに楽しんでいます。

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