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[その他] 2014 さくら道国際ネイチャーラン

 人々の幸せを願い、太平洋と日本海を桜のトンネルで結ぶことを夢見た旧国鉄バス車掌、故佐藤良二氏の遺志を繋ごうと平成6年に始まった大会。
名古屋城~一宮~関~美濃~白鳥~ひるがの~荘川桜~白川郷~南砺~金沢兼六園の、ほぼR156沿いの250kmを36時間以内で走るコースである。
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[その他]2014 さくら道国際ネイチャーラン

2014年4月18日(金)~2014年4月21日(月)

48期 寒川 陽子

 人々の幸せを願い、太平洋と日本海を桜のトンネルで結ぶことを夢見た旧国鉄バス車掌、故佐藤良二氏の遺志を繋ごうと平成6年に始まった大会。
名古屋城~一宮~関~美濃~白鳥~ひるがの~荘川桜~白川郷~南砺~金沢兼六園の、ほぼR156沿いの250kmを36時間以内で走るコースである。

【メンバー】単独
【行程】
・4月18日(金)
KKRホテル名古屋(開会式、来賓挨拶、選手宣誓、ルール説明等)
 名古屋市内泊
・4月19日(土)~20日(日)
名古屋城(0km)19日6:09スタート→13:27郡上市美並町(67.2km)→18:24白鳥町(106.9km)→23:55荘川町荘川桜(143.0km)→20日4:46道の駅白川郷(172.6km)→10:33南砺市大鋸屋(212.0km)→15:43兼六園佐藤桜(250.0km)  【所要時間33時間34分】
兼六園=(送迎)⇒金沢白鳥ホテル(入浴)=(送迎)⇒白鳥町民宿泊
・4月21日(月)
 白鳥町民宿(送迎)⇒郡上市合併記念公園(桜の苗の記念植樹)=(送迎)⇒白鳥ふれあい創造館(閉会式、表彰式、来賓祝辞、大会講評、記念撮影、昼食会)


【記録】
 「限りない夢を託したさくら道
この地球の上に 天の川のような 美しい花の星座をつくりたい
花を見る心が一つになって 人々が仲良く くらせるように
              佐藤 良二」
[大会趣旨]
太平洋と日本海を結ぶ266kmの道を、桜のトンネルで結ぼうと決意した男がいた。
 御母衣ダム工事で、水没する山寺の樹齢400年を数える桜の古木が移植され、見事に蘇ったその生命力に感動したからである。
 その男は、名古屋と金沢を往復するバスの車掌・故佐藤良二氏である。彼はバスの走る道沿いに、桜の苗木を黙々と植え続けた。乏しい蓄えを注いだ。少ない休暇を使った。2000本も植えただろうか。男は病に倒れた。志半ばで力尽き、逝った。47歳の短い生涯だった。
 清貧という言葉が改めて見直される今、「人の喜ぶことをしたい」と病魔に侵された我が身を顧みず、無償の行為を貫いた佐藤氏の生き方は、貧しくも豊かな心を持つ、人間の幸福な姿を問いかけてくれる。
140418-21sakura1 名古屋城本丸御殿前
 ↑名古屋城本丸御殿前 スタート前

第1回大会が開催されたのは、私が中学生になったばかりの年だった。その年より走る事を始めるようになってはや21年。脳筋に成り上がってしまった私は、恥ずかしながら申込の直前までさくら道のさの字も知らない大人だった。ではなぜ申込んだのかというと、名古屋からR156を抜けて金沢へ至るコースに魅力を感じたからだ。
 山ヤにとってR156は幾度もお世話になる道(今は東海北陸道に取って代わってしまったが)。佐藤良二さんも雪の三方崩山に登頂されたが、この山域には雪がないと登れない山がいくつかあり、奥美濃は残雪期に遊びに行くには格好の山域である。だが今年は残雪の山遊びを諦め、いつもは山に行くついでに立ち寄るだけの山里を走る事にした。走る事でまわりに勇気を与えられるというのなら、少しでもいつもの恩返しができたらいいな。そんな思いを抱きつつ。
…と悠長に思い浸れる程の余裕などないのが、補欠繰り上がり初出場の現実。昨年春の、長崎橘湾岸スーパーマラニックを157km地点でリタイア。痛みで歩く事すらできなくなった為に時間を失ったあの悪夢がムクムクと蘇ってくる。

140418-21sakura2 木曽川 ここから岐阜県
 ↑木曽川

ここから岐阜県(27km付近)かといって元々登山の体力維持の目的で走っている私には、練習と銘打った走りなど全くする気なし。慢性的な喘息を抱えてからは、夜二時間走っただけで息苦しさで眠れなくなる。おまけに大会の一週間前に持病が再発し、数日間床から起きるのも辛い状態で食欲も全く出ず。
 そして当日朝、症状が抜けきらないままのスタート。リフレインする、開会式での「完走できる人しか選んでません」の言葉。この大会に出たい方は沢山いらっしゃる。奇人だらけの中、完全に場違いな私なんぞに貴重な出走権の一枠を下さった意味を思うと、全力を尽くして佐藤桜まで行くんだという思いしかなかった。

140418-21sakura3 長良川沿い
  ↑長良川沿い(60~110km付近)

 全力といっても地の走力は知れてるので、装備を万全に整えた。トラブルの想定や対処については山中の方が圧倒的にシビアである。なので、身体のダメージ以外はほぼ不安を感じずに走れた。250kmという距離にも関わらずずっと続く沿道の応援。所用で外出したとおぼしき通行人も、我々を見ると破顔して応援してくれる。集団で歩道を通行し邪魔している汗臭い我々を「歓迎してくれてるんだな」と肌で感じとれるような温かさがあった。諸々のサポートの充実ぶりには本当に頭が下がる思いで、エイドではついついくつろいでしまい…。

 特筆すべきは電力館エイド(152.8km)でのマッサージ。痛みはもとより眠気まで吹き飛んだ。真剣に先生を拝み奉りたい。そしてもう一つは長いこと前後しつつ道のりを共にしてきたJさん。話しかけたいけど話せない、どうしよう…そんな事を思いつつ横並びで五箇山の登り(200km付近)で黙々と登っていると、突然、手を差し出してくれた。それだけでものすごく嬉しくなって手を繋ぐと、今度は笑いながら肩組み合った後で「いきなりこんな事してごめんね、今日だけだから」と言った。国際化社会において語学の重要性は疑いようもないところであり、自らの言語の拙さがコミュニケーションの障壁を作り出していたのが事実である。しかし、言葉は何もいらなかった。200kmを越えてきた仲間であること、それだけで差し出された手の意味も笑顔の意味も私に伝わった。もっと自由に話す事ができたら…。来年また出走できるならば、一番強化しておきたいのは走力ではなく語学力だと強く感じている。また、自分の親とあまり変わらない御歳であり、今年還暦を迎えられるAさんとはまさに最初から最後まで250kmの苦楽を共にする事となり、本当に心強かった。
 月夜に煌めく御母衣湖、早朝の白川郷から拝む銀嶺。風に散るさくらの花びらの下を抜け、県境を越えて金沢市内に入ると、もう終わってしまう寂寥感すら感じられるから不思議なものだ。

140418-21sakura4 兼六園佐藤桜
↑佐藤氏が1500本目に植えた「佐藤桜」

そして佐藤桜は、行楽に賑わう兼六園の歩道の傍らにひっそりと鎮座していた。山に生えている木々よりも遥かに小さく、暴風や食害ですぐにやられてしまいそうな印象すら受ける。完走して幹に触れるランナー。こんな言葉が聞こえてきそうだ。「朝っぱらからペタペタと…ああ、今年もまたこの日が来たのか。おお、そっちのお前さんは今年もまた来たのか!相変わらず元気だなぁ。ちゃんと一年分の積もる話を持ってきたかい?」来年は「お久しぶり!」と佐藤桜に声をかけてみたいものだ。

140418-21sakura5 記念植樹 プレート裏に名前が書いてある
↑記念植樹 プレート裏に名前が書いてある

故佐藤氏の想いが込められた250km。ただの250kmだったら、最近巷でよく開催されているような収益を見込んでの大会だったら、きっと途中で挫けてしまっていただろう。「ホスピタリティー」という言葉が本当にぴったりくる大会である。
 最後にこの四日間で関わった全ての方に厚くお礼申し上げます。文字通り、皆様に支えられての完走でした。
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プロフィール

kyotohira

Author:kyotohira
山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングから、アルプス縦走、沢登り、岩登り、植物観察、山スキー、トレイルランニングなどオールラウンドに楽しんでいます。

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